私の母の性格はとても陽気で活発な社交的タイプ。
反対に、父の性格は無口で真面目な内向的タイプ。
私の性格は9割方父の性格を受け継いだのだ、と今まで思っていました。
しかし最近、その父が外ではとても社交的な人間だということを知ったのです。
それは、自分の内向性を父のせいにしていた私にとって、かなりの衝撃でした。
そして、自分は遺伝という不可抗力に甘え、ただ楽な方を選んでいただけだったことに気づいたのです。
それ以来、性格形成は自分の責任だということを常に意識し、なるべく社交的な面を引っ張り出そうと心がけています。
もちろん、いきなり大きく変わることはできませんが、ただ責任を誰かに転嫁してては絶対に何も変わりません。
そのことに気づいただけでも、私にとっては大きな変化です。
先日、六本木のクラブに行きました。
クラブといっても女の子とお酒を飲むほうのではなくて、踊るほうのクラブです。
今までは自分の行く場所ではないと勝手に決めつけ、そういったところは避ける傾向にありました。
以前なら、〝東京の夜は怖い〟という印象をずっともっていたので、終電がなくなるまで東京にいることなど考えられませんでした。
しかし、それも勝手なイメージにすぎなかったのです。
朝でも昼でも夜でも、違うのは街の景観だけで、そこにいる人たちはみな自分と同じ〝人〟だな、という印象を受けました。
先入観というのは、ときに現実ではない世界をつくりあげてしまうものです。
どんな物事も、経験して初めて評価できるのではないでしょうか。
クラブに入った私は、初めはぎこちない感じで、まわりに合わせるように体を揺らしていただけだったのですが、次第にアルコールがまわり始め、いつの間にかまわりのことなど気にしないようになって、そのうち汗だくになるほど激しく踊っていました。
クラブの雰囲気にも慣れ始めると、今度は話し相手がほしくなり始めました。
まわりはカップルか、友人を連れた人ばかりです。
〝ナンパ〟という、自分にとってもっとも縁遠い言葉が脳裏をかすめました。
ずっと私の前で踊っているカワイイ女の子がいて、ちょくちょく目があっていた(思いこみかもしれませんが・・)ので、勇気を振り絞って声をかけることにしました。
実は、ナンパは初めてではありません。
高校生のころ一度、近所の道ばたで女の子に声をかけたことがあります。
ただ、何を話していいかもわからず、あたふたしていたら、そのまま逃げられてしまったという苦い経験でした。
それ以来、ナンパは自分には向かないと悟り、女性を避ける傾向にありました。
それを思えば、私にとってはナンパの成功よりも、ナンパすること自体がかなりの前進です。
私はその女の子の背中に軽く手をあて、「のど渇かない?」と声をかけました。
あまりに音楽のボリュームが大きいため、彼女は笑顔で「?」といった表情をしました。
〝これは好感触〟と思った私は、彼女の耳元で同じ言葉をかけると、それを受け入れたような素振りをしました。
〝やった〟と思った瞬間、彼女の連れらしき女の子が近づいてきて、なにやら彼女に耳打ちをしています。
そして彼女が、「私たちお酒飲めないんです」という断りの言葉を私に耳打ちしました。
ナンパになれている人ならここでもっと押すこともできたのでしょうが、私の心臓はもうバクバクで、何て返せばいいかなど検討もつかなかったので、適当にうなずいてその場を離れました。
しかし、がっかりというよりも、声をかけることができたという高揚感のほうが強かったように思います。
私はそれから終了まで、ひたすら踊り続けました。
こんなことで人生が好転するとは思えませんが、心に多少の余裕がもてるようになりました。
これからは、先入観で避けるのではなく、あらゆるものに挑戦していきたいと思っています。
性格は遺伝するのではなく、遺伝すると思い込んでいるところに、性格が似る要素が強いように思います。
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